バイオリン作りの面白さ


前島隆生

<雑感>

17世紀中頃に形態が決まり、18世紀後半くらいまで幾多の名工が出現致しました。その時代の作品が現在オールド名器として大活躍している事はご存知の通りです。
さて私たちはなぜバイオリン作りを続けているのでしょうか?
きっかけとなった動機はいろいろ有りますが、美しい音と美しい姿に惚れたのは確かでしょう。

自分の理想とする音を作るにはどうしたらいいのでしょう
一つとして同じものはない木材、基準寸法と様式はあっても、膨らみ具合や厚み、アウトライン ニスなど自由度も多い故に、
それらの絶妙な組み合わせをどう発見し実現してゆくかの探求、更に予測と実現度のギャップのジレンマとの連続でもあります。
しかしこの試行が音へ昇華してゆくのも時間こそかかれ確かだと思います。

もう一つは木工芸の醍醐味です。美しい木材と出会いじっくりと会話しながら手を加え美しい音が生まれる、
その過程では様々な加工技術を発揮します。
まさに楽器作りは木工芸の極みであると思います。
私たちが作れるのは新作でしか有りません。私は決してオールド名器の音を再現しようとは思いません。不可能だからです。

重要な事を一つ、私たちは良い音が出易い楽器を作ろうとしていますがこの楽器から美しい音を引き出す事が出来るのは優秀な奏者なのです。
工芸品は、自らは芸術ではないように思います。

さておき、このレディーは100年後どんな声で歌うのでしょうか

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