前島隆生
手作りのテールピース(ヒルタイプ)
裏板用のメープルは美しい杢目を持っていますね。
端材でも立派な部品が作れますので、是非挑戦してみては如何でしょう。
別紙図面をよく見て以下の手順で作ってみて下さい。
冶具の作成は必須なのでかなり手間ですがしっかりしたものを作りましょう。

図面のダウンロード
システム環境により、解凍が必要な場合もあります。
1 木取りと工作用冶具の作成
木取り—端材でも図示のサイズが採れるかは部材の大きさによります。
中心でmin10mmが必要になりますのでVn用板の端材ですとギリギリセーフかも知れません。
図の寸法を確認しましょう。
冶具の製作
曲線と平面の混じった立体は手持ちでは工作がとても困難ですから支え台(冶具)をはじめに作っておきます。
クランプなどでテーブルに固定して使います。
テールピースの型により多少寸法が違いますので5mmくらいの融通性の有る構造にします。
仕組みが多少複雑になりますが面白い構造なのでこれの作成自体もまた面白いでしょう。
構成部品の作成は図面を見ながら手順を追って行きます。
用材: 加工性の良い材 白松、ラワン、ポプラ イチョウなど。
赤松 栂 杉などは加工性がわるい。
出来上がった冶具は次の2から使って行きます。
冶具の製作
木取り寸法は図面を見て下さい。
手順1
単一の寸法の材一本(24×15×600)ですべて出来るので、予め図の寸法でカットしておく。ボルトを用意する 5×40 蝶ネジ ワッシャー 各1個
手順2
材A,Bはスライド式部品になるので大きなガタが出ない様きれいに細工します。 鋸のあとはヤスリで整面する。
手順3
A,Bにボルト穴を開ける。 A,B はまった状態でいっぺんにドリルを通す。
手順4
A側にボルト納め溝を切る。 実際にボルトを通してみる。
手順5
ボルトが入ったAを台に接着する。
Cについて
図で立体が想像出来れば簡単です。
要はテールピースの端部は 裏加工すると形状が全く異なり、仕上げで平面での押さえが必要だからです。あえてはめ込み式にします。
2 アウトラインの切り出しと成形
手順1
手持ちのテルピースから厚紙に写し取り型紙を作っておきます
まず、切り出した材の斜面を平面に直し、直方体を作っておきます。
次にアウトラインを線引きして行きます。型紙から裏となる面に線引きします。
左右対称なきれいなラインに成形して行きます。
糸鋸 反り鉋 やすりでアウトラインが出来ましたら冶具にセットし、以下の手順で成形して行きます。
手順2
側面のサイドに底より2.5mmを線引きする。
表面に中心線を引く。
2つの線の間の材を削り落として峰を作ってゆく。
平のみ 反り鉋 半丸ヤスリ
手順3
中心線上に反りを入れる。 max2.5mmになる様中心線を削り落とす。
このとき始めに最大落とし幅となる位置に鋸を入れておくと落とし量の目安となる。
緩やかできれいな反りと平らな面を作って行きます。
再度中心線を引き、峰を作ってゆく。
手順4
きれいな峰が通ったら再度左右の面の調整を行う。
ヤスリ ペーパー
3 サドル溝の彫り込みと弦穴あけ。
手順1
図面の通りに鉛筆で見当を入れておく。
サドルの材を作る—黒檀紫檀など堅い木材又はアルミ板
左右を峰で合わせるための加工をするので3ミリほど長めに作っておく。※2×4×28 2本
手順2
溝の彫り込み—パフリングと全く同じ要領なので難しくはないでしょう。
サドルのはめ込みは最終工程で入れます。
弦穴あけ—ドリルの前に必ず下穴を入れておく。斜面に対し垂直の穴は必ずしも必要ではない。
少し開く位の方がいいかもしれない。図5
弦溝つけ—円の中心からずれると見苦しいので此所は慎重に。
幅1.3mm~1.5 糸鋸 ナイフ ペーパー
幅について—実際に緒止め部の太さによっては1.3では入らないものも有った。
糸鋸のでの幅約0.6をナイフなどで広げる。
手順3
裏面の彫り込みと穴開け
図の通りですが弦穴裏がきれいに出てきます。
E線アジャスターがきちんと収まるよう気をつけます。
4 サドルの嵌め込み と 仕上げ、塗装
片方を先に接着し、もう一方を左右が頂点で奇麗に合わさる様、これに合わせる。 仕上げ—穴あけのバリやノミあとなどをペーパーで取り除く。
塗装—-虎杢を出す出さないは好みであるがオイルフィニッシュ、マット仕上げや黒のステインにクリアラッカー数回塗りもなかなか良い。
※参考画像はビラオ用のテールピースです。写真クリックで拡大します。




